ベルヴェデーレ宮殿群は、ウィーンを代表する建築群の一つです。壮麗なバロック様式の宮殿、歴史ある庭園、噴水、世界的に重要な美術コレクションで知られています。上宮殿と下宮殿の二つの建物が、左右対称の小道、彫刻、水盤を備えた段状の庭園で結ばれています。オーストリアの首都の歴史地区から南東に位置しています。
現在のベルヴェデーレは、建築や庭園だけでなく、グスタフ・クリムトの有名な絵画『接吻』を所蔵する美術館としても知られています。コレクションでは中世から現代までのオーストリア美術を鑑賞できます。
宮殿群の歴史
18世紀初頭、オーストリアの軍人・政治家であったサヴォイア公オイゲンは、当時のウィーン市街の外に夏の離宮を建てることを決めました。1697年にレンヴェークの南側の土地を購入し、オーストリア・バロックを代表する建築家ヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントに設計を依頼しました。
下宮殿の建設は1712年に始まりました。上宮殿は1717年に着工し、1723年に完成しました。1736年にオイゲン公が亡くなった後、所有地は最終的にハプスブルク家の手に渡りました。マリア・テレジアは上宮殿に皇室の絵画ギャラリーを設け、1777年に一般公開しました。これにより、ベルヴェデーレは世界でも初期の公開美術館の一つとなりました。
上宮殿と『接吻』
高台に建つ上宮殿は、宮殿群の中で最もよく知られた建物です。ファサードには彫刻装飾が施され、豪華な大広間にはバロック様式の華やかさが表れています。建物の前には大きな水盤があり、宮殿の姿を水面に映します。
美術館の代表作は、1907〜1908年に制作されたグスタフ・クリムトの『接吻』です。金色の色調と装飾模様に包まれた、抱き合う二人が描かれています。コレクションにはクリムトのほか、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュカなどの作品も含まれています。
下宮殿
下宮殿は、もともとオイゲン公の住居として使われていました。上宮殿に比べて落ち着いた雰囲気があり、内部は精緻な装飾で彩られています。歴史的な部屋には大理石のギャラリー、黄金の書斎、グロテスクの間などがあります。現在、宮殿と隣接するオランジュリーでは企画展が開催されています。
宮殿の庭園
ベルヴェデーレの庭園は、ヨーロッパの歴史的なバロック庭園を代表する例です。二つの宮殿の間に複数のテラスが広がり、左右対称の小道、刈り込まれた生け垣、芝生、噴水、彫刻が、下宮殿から上宮殿へと続く美しい景観を作り出しています。
春には観賞用植物が花を咲かせ、夏には木陰の小道が散策に適し、秋には色づく葉が庭園を彩ります。敷地内にはオランジュリー、私的な庭園、山岳植物を集めたアルプス庭園もあります。
歴史的な意義
1955年5月15日、上宮殿の大理石の間でオーストリア国家条約が調印され、戦後の占領を経たオーストリアの主権が回復しました。この出来事によって宮殿は国の記憶を伝える重要な場所となりました。ベルヴェデーレは、ユネスコ世界遺産に登録されたウィーンの歴史的都市景観の一部を成しています。
ベルヴェデーレへの行き方
宮殿群はウィーンのラントシュトラーセ地区にあります。上宮殿へはトラムD線でSchloss Belvedere停留所まで行くと便利です。また、地下鉄U1線でSüdtiroler Platz–Hauptbahnhof駅まで行き、徒歩約15分でアクセスできます。下宮殿へはトラム71線のUnteres Belvedere停留所が便利です。
二つの宮殿と庭園を見学するには数時間を確保するとよいでしょう。訪問前に美術館の公式サイトで開館時間、チケット、開催中の展覧会を確認してください。
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