クアパークは、ウィーンの南約26kmに位置するオーストリアの町、バーデン・バイ・ウィーンにある歴史的な景観公園です。約52ヘクタールの敷地には、古木、花壇、散策路、噴水、記念碑、展望スポットがあります。町を代表する観光名所の一つであり、バーデンがヨーロッパの貴族や皇帝の宮廷に人気の保養地だった時代を今に伝えています。
クアパークは、静かな散策にもオーストリアの文化史を知る旅にも適しています。作曲家の記念碑や歴史的な建造物、有名なウンディーネの噴水を見学できるほか、バーデンの歴史的な街並みやウィーンの森の丘陵を眺められます。
クアパークの歴史
公園の歴史は、バーデンが温泉保養地として発展した歩みと深く結びついています。1758年、カルヴァリエンベルクの丘の麓にテレジエン浴場が建設され、マリア・テレジア皇后もその設立に関わりました。近くにはテレジエンガルテンと呼ばれる庭園が少しずつ形づくられました。1792年、町は住民や温泉客のための公共公園へと整備することを決めました。
18世紀末から19世紀前半にかけて、バーデンは裕福な旅行者に人気の目的地となりました。1796年から1835年まで、町はフランツ皇帝とその家族の夏の滞在地でした。散歩や音楽演奏、社交行事は温泉地の生活に欠かせないものでした。バーデンの人気が高まるにつれて、周辺の土地が取得され、緑地も拡大しました。
1837年には、実業家イグナーツ・ラングに関係する庭園地が町の所有となりました。その後も土地の購入や整備が進み、現在のクアパークの姿が形づくられました。19世紀末から公園の景観づくりに携わったヨーゼフ・クルプカをはじめ、市の庭園管理者たちが園路や眺望の設計に重要な役割を果たしました。
ウンディーネの噴水
クアパークを代表する見どころの一つが、ウィーンの彫刻家ヨーゼフ・カッシンによるウンディーネの噴水です。エーベンフルトからの新しい水道の開通に合わせ、1903年に設置されました。中央の伝説上の水の精ウンディーネはカッラーラ産大理石で作られ、周囲には人々や水にまつわる生き物の姿が配されています。この噴水は歴史公園を彩る作品となり、バーデンの優雅な保養文化を象徴しています。
2024年には大規模な修復が行われ、石の装飾、池、水の循環設備などが整備されました。現在は彫刻の細部や水の演出を再び楽しめます。
記念碑と建築
クアパークはバーデンの音楽遺産とも結びついています。1912年には、ウィーンの音楽文化を代表する作曲家ヨーゼフ・ランナーとヨハン・シュトラウス1世の記念碑が設置されました。また、公園内にはベートーヴェンを記念する小さな建築物、ベートーヴェン神殿があります。1928年に公開されたこの施設は、何度もバーデンを訪れたルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに捧げられています。
ほかにも歴史上の人物の記念碑、花壇、有名な花時計があります。園内には静かな休憩場所、木陰の散策路、町を見渡せる場所が点在しています。区域ごとに異なる景観庭園の様式が見られるのも特徴です。
散策と文化イベント
クアパークは一年を通じて散策を楽しめる場所です。春から夏には花壇や豊かな緑が目を引き、古木が遊歩道に木陰をつくります。ベンチや休憩場所があり、近くの文化施設へ続く道も整備されています。斜面を上る小道からは、バーデンの町並みと周囲の景色を眺められます。
コンサート会場や夏の文化イベントを通じて、町の音楽の伝統も受け継がれています。公園内または近くには音楽パビリオン、ゾンマーアレーナ、バーデン・カジノがあります。散策と公演鑑賞、歴史地区の観光を組み合わせることもできます。催しの予定は季節によって変わるため、訪問前に確認してください。
クアパークへの行き方
ウィーンからバーデンへは、バドナー・バーンなどの公共交通機関でアクセスできます。バーデン中心部からクアパークの主な入口までは徒歩で移動できます。車で訪れる場合、大きな催しがある日は中心部の駐車スペースが限られることに注意してください。
クアパークは一人での散歩、家族での外出、町の歴史を学ぶ観光に適しています。入園は無料で、一年を通じて訪問できます。主要な記念碑、ウンディーネの噴水、ベートーヴェン神殿をゆっくり見学するには、少なくとも1〜2時間を見込むとよいでしょう。
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